広安里(クァンアルリ)は、カフェも食堂もありすぎて逆に迷うエリアです。海沿いの定番から路地裏の隠れ家まで、選択肢が多すぎてランチひとつ決めるのにも時間がかかります。先日、友人と平日の昼に広安里で会う予定があり、せっかくなら地元で話題になっているお店に行ってみようということで、広安駅すぐそばにある広安里トンカツの専門店「HETZ(ヘッツ)」を訪れました。
HETZがある広安里は、釜山広域市水営区(スヨング)に位置する海沿いのエリアです。海雲台(ヘウンデ)から西へ約20分の距離にあり、観光客で賑わう海雲台とは対照的に、地元の釜山市民が日常的に通う落ち着いた雰囲気の街として知られています。全長1.4kmの広安里ビーチからは広安大橋(ダイヤモンドブリッジ)が正面に見え、海岸通りの裏手には個人経営の飲食店がひしめいています。HETZもそのひとつで、日本語の情報はほとんど出回っていない、地元密着型のトンカツ専門店です。

目次
店舗情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | HETZ(ヘッツ) |
| 住所 | 釜山市水営区水営路575番キル10 103号 |
| 営業時間 | 毎日 11:10~20:30 (ブレイクタイム 15:30~17:00 / ラストオーダー 15:00、20:00) |
| アクセス | 釜山地下鉄2号線 広安駅 4番・6番出口から徒歩約1分(約70m) |
| 駐車場 | 隣のジウ(Jiwoo)タワー駐車場利用で₩1,000(約105円)補助あり。 |
| 予約 | 予約不可・ウォークインのみ。 Catch Tableアプリで遠隔順番待ちと事前注文が可能。韓国の電話番号がない方はCatch Table Globalアプリでメール登録のみで利用できます。 |

カウンター席からオープンキッチンが一望でき、揚げたてのトンカツができあがる過程を目の前で見ることができます。
行列の先に待つ、希少な国産ブランド豚の魅力
「HETZ」という店名は、ドイツ語で「楽しさ」「愉快」を意味する言葉から取ったものだそうです。お客さんに楽しい気持ちで食事をしてほしい、という思いが込められているとのこと。ただ、実際に行列ができている理由は、その理念よりも「豚肉そのもの」にあります。
HETZのメニューは、韓国産の豚肉を2つのラインで展開しています。ひとつは済州島(チェジュド)の在来種「耽羅黒豚(タムラヘクトン)」で、しっかりとした噛み応えと深い旨みが特徴です。もうひとつが「YBD豚」で、これはヨークシャー・バークシャー・デュロックを掛け合わせた品種です。韓国国内の豚肉生産量のわずか0.3%しか流通していないという希少な原肉を使用しています。
厚い衣や濃いソースで勝負するのではなく、肉質そのもので食べさせるスタイル。ここが一般的なトンカツ店との大きな違いであり、平日の昼間でも行列ができる理由なのだと感じました。
オマカセ店のような上質な空間で過ごす、20分の待ち時間
平日の13時半頃、ピークは過ぎたかなという時間帯に到着しましたが、店内は満席でした。Catch Tableで順番を取ると、前に5組ほど。アプリ上で事前注文もできるので、メニューは先に決めておきました。

近くのコンビニでアイスコーヒーを買って友人と話していると、20分ほどで「そろそろお越しください」と電話が入りました。もし待ち時間をもう少しゆったり過ごしたいなら、HETZから徒歩10分ほどのところにあるVACA Coffee Loungeがおすすめです。地元の方に人気のカフェで、オレンジアメリカーノやサンドイッチ、手作りプリンが評判です。店内には小さな庭園スペースもあり、広安里の一般的なカフェとは少し違った雰囲気を楽しめます。
店内に入ると、まず目に入ったのはグレーとブラックを基調にした落ち着いた空間でした。トンカツ店と聞いて想像する明るくカジュアルな雰囲気ではなく、カウンター席がオープンキッチンに向かって一列に並ぶレイアウトで、まるでオマカセ店のような趣があります。席数は限られており、少人数にだけ集中してサービスを提供する形式です。目の前でシェフがパン粉をつけて揚げていく様子をそのまま見ることができるので、料理が出てくるまでの期待感も高まります。

極上のひと皿:YBDヒレカツを味わう
メニュー全体は済州黒豚ラインとYBDラインに分かれていますが、初めての訪問で押さえておきたいものを整理しました。
| メニュー | 価格(KRW) | 価格(円換算) |
|---|---|---|
| YBDヒレカツ(豚ヒレ肉) | ₩15,000 | 約1,579円 |
| YBDロースカツ(豚ロース肉) | ₩13,000 | 約1,368円 |
| 済州黒豚ロースカツ | ₩14,000 | 約1,474円 |
| 肉カレー(サイド) | ₩3,000 | 約316円 |
| HETZゆずハイボール | ₩6,000 | 約632円 |
私たちはふたりともYBDヒレカツを注文しました。セットにはご飯、スープ、自家製ドレッシングのサラダがついてきます。

セットにはご飯、スープ、自家製ドレッシングのサラダがついてきます。
繊細な衣と、溢れる肉の旨み
まず印象に残ったのは衣の薄さです。繊細で、揚げ加減も油を吸いすぎない絶妙なラインで仕上がっています。皿にも指にも油っぽさがほとんど残らないのは、トンカツとしてはかなり珍しいことだと思います。
ヒレ肉の断面はきめが細かく、噛むたびにきれいにほどけていきます。ロースのようなしっかりした噛み応えではなく、やわらかくて上品な食感です。YBD品種ならではの特徴なのか、脂っこさはないのにしっかりとしたコクがあり、あっさりとこってりの中間のような味わいでした。

特に印象的だったのは、濃いソースがなくても十分に成立する味だということです。テーブルには塩、わさび、自家製のつけダレが用意されていますが、わさびをほんの少しのせるだけで肉の旨みが引き立ちます。ソースに頼らず食べられるトンカツというのは、肉そのものに自信がないとできないことだと思います。

友人がHETZゆずハイボールと鶏皮餃子揚げも追加で注文してくれました。鶏皮餃子揚げはカリッとした食感で、ハイボールのお供にぴったりでした。ゆずの爽やかな香りが揚げ物の重さをうまく中和してくれて、軽いランチのつもりがしっかりとした食事体験に変わりました。残念ながら、この鶏皮餃子揚げは現在メニューから外れてしまっています。あの食感がもう味わえないのは少し寂しいです。

訪問時に注文した鶏皮餃子揚げ。残念ながら現在はメニューから外れています。
印象に残った小さなこと
食事を終えて店を出てから、いくつかのことが記憶に残りました。量は多すぎず少なすぎず、「ちょうどいい」と思える分量でした。油の管理が丁寧なのか、食後の胃もたれもありません。帰り際にそっと渡される小さなキャンディも、食事の句読点のようで印象的でした。

店内にはBGMもテレビもなく、壁にごちゃごちゃした装飾もありません。料理に信頼を置いて、それだけで勝負しているお店なのだと感じます。平日の昼間にこれだけ行列ができているという事実が、その信頼が間違っていないことを静かに証明しています。
次回への備忘録と、スムーズに楽しむためのコツ
次回は済州黒豚のロースカツを試してみたいと思っています。ヒレの繊細さとは異なる、噛み応えのある肉の旨みが味わえるとのことで、比較してみるのが楽しみです。11時10分の開店30分前には到着しておくのがよさそうです。ランチタイムはもちろん、平日でもコンスタントに行列ができるとスタッフの方が教えてくれました。
行列のあるお店は普段あまり並ばない主義なのですが、HETZは例外でした。広安里トンカツの中でも、これだけ肉そのものの味に集中しているお店はなかなかないと思います。食事に丁寧に向き合いたいとき、無難だけど平凡ではない一皿を探しているとき、候補に入れておいて損はないお店です。
旅の記憶に刻む、広安里の特別な一皿と周辺スポット
広安駅を出て1分、小さな看板だけが目印のこのお店に、平日の昼間から人が並んでいます。派手さはありません。特別なパフォーマンスもありません。ただ、目の前のカウンターで丁寧に揚げられた一枚のトンカツが、静かに確かな満足を運んでくれます。
旅先での食事は、ときに景色やサービスが記憶を彩ることもありますが、HETZで過ごした時間は「食べること」そのものに集中できた、ちょっと贅沢なひとときでした。広安里を訪れる機会があれば、ぜひ一度足を運んでみてください。

金曜日や土曜日の夕方に訪れるなら、食後にミルラク・オーシャンシネマで夜を締めくくるのもおすすめです。民楽(ミルラク)水辺公園に設置された屋外スクリーンで、チケットは₩3,000(約316円)。広安里エリアの飲食店やショップのレシートを提示すればキャッシュバックが受けられるので、実質無料で映画を楽しめます。2026年は6月26日~10月17日の毎週金・土に開催されています。

広安里で宿泊先を探しているなら、HETZから徒歩約15分の場所にあるGwangalli W Hotelが選択肢に入ります。広安里ビーチの目の前に位置し、部屋から広安大橋のライトアップを正面に眺められるロケーションです。周辺のホテルと比べて料金も抑えめで、コストパフォーマンスの高い滞在ができます。
よくある質問
HETZではどんな豚肉を使っていますか?
HETZでは韓国産の豚肉を2種類使用しています。ひとつは済州島の在来種「耽羅黒豚」で、しっかりした噛み応えと深い旨みが特徴です。もうひとつは「YBD豚」で、ヨークシャー・バークシャー・デュロックを掛け合わせた品種です。韓国国内の生産量のわずか0.3%しか流通していない希少な原肉で、厚い衣や濃いソースに頼らず、肉そのものの味を活かした調理をしています。
HETZの待ち時間はどのくらいですか?
平日でもランチ・ディナー時には15~30分程度の待ち時間が発生します。カウンター式の席数が限られているため、回転はゆっくりです。Catch Tableアプリで遠隔順番待ちができ、待っている間にメニューの事前注文も可能です。韓国の電話番号がない方は、Catch Table Globalアプリを使えばメールアドレスだけで登録できます。
HETZへのアクセス方法を教えていただけますか?
釜山市水営区水営路575番キル10(103号)にあります。釜山地下鉄2号線の広安駅4番または6番出口を出て徒歩約1分(約70m)です。車の場合は、隣のジウ(Jiwoo)タワー駐車場が利用でき、₩1,000(約105円)の駐車補助があります。駐車場は日曜定休です。
初めての訪問ではどのメニューがおすすめですか?
YBDヒレカツ(₩15,000/約1,579円)が一番の看板メニューです。豚ヒレ肉のきめ細かい食感と、薄い衣のバランスが良く、塩やわさびだけで十分に味わえます。しっかりした噛み応えが好みなら、済州黒豚ロースカツ(₩14,000/約1,474円)も候補になります。HETZゆずハイボール(₩6,000/約632円)と合わせると、より充実した食事になります。
HETZは予約できますか?
予約は受け付けておらず、ウォークインのみです。ただし、Catch Tableアプリで到着前に順番待ちリストに入ることができます。事前注文機能もあるので、席が空いたらすぐに料理を受け取れます。韓国の電話番号がなくても、Catch Table Globalアプリならメールアドレスのみで登録が可能です。
ひとりでも入りやすいお店ですか?
はい。カウンター席がメインのレイアウトなので、ひとりでの食事にも向いています。メニューは写真付きで、翻訳アプリがあれば注文にも困りません。静かで落ち着いた雰囲気なので、ひとりでゆっくり食事を楽しみたい方にもおすすめです。
HETZ周辺で他に楽しめるスポットはありますか?
広安里ビーチと広安大橋が徒歩10~15分圏内にあります。地元で人気のVACA Coffee Loungeは徒歩約10分で、オレンジアメリカーノや庭園席が特徴です。また、2026年6月26日~10月17日の毎週金・土には、ミルラク・オーシャンシネマ(民楽水辺公園の屋外シネマ)で映画上映が行われており、チケットは₩3,000(約316円)です。広安里エリアのレシートを提示すればキャッシュバックが受けられ、実質無料で映画を楽しめます。