慶州といえば仏国寺や大陵苑など、新羅の歴史遺産をめぐる旅が定番です。ただ、見どころのほとんどが屋外にあるため、天気が崩れた日の過ごし方に困ることがあります。今回の旅でまさにそうなったとき、ふと見つけたのが慶州東宮苑でした。新羅時代の王宮庭園の構想を、ガラスの温室という形で現代に再現した植物園です。
東宮苑は慶州市東部の保門(ポムン)観光団地の入口付近に位置しています。慶州市外バスターミナルからはバス(10番・16番・100-1番)で約15分、慶州KTX駅からはバス(710番)で約30分の距離です。保門湖の散策路にも近く、保門エリアを一日かけて回る際のルートに組み込みやすい立地です。慶州自体はソウルからKTXで約2時間、釜山からは約1時間で、皇理団キル(ファンリダンギル)周辺の繁華街に比べると保門エリアは落ち着いた雰囲気が漂っています。

目次
行く前に知っておきたい基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 慶尚北道 慶州市 保門路74-14 |
| 植物園入場料(大人) | ₩5,000(約530円) |
| 植物園入場料(子ども) | ₩3,000(約320円) |
| バードパーク入場料(大人・別途) | ₩20,000(約2,110円) |
| バードパーク入場料(子ども・別途) | ₩15,000(約1,580円) |
| 営業時間 | 植物園 09:30〜19:00 / 体験館 09:30〜18:00 |
| 定休日 | 毎週月曜日(バードパークは月曜も営業) |
| 駐車場 | 無料 |
| その他 | 車いす・ベビーカーの無料貸出あり(総合案内所にて・身分証提示) |

新羅の庭園が温室になるまで
東宮苑の名前の由来は、単なるブランディングではありません。『三国史記』の記録によると、新羅の文武王は674年に東宮と月池(アナプチ)に庭園を造営し、そこで珍しい花や木、鳥や獣を飼育したとされています。これが韓国で最初に記録された動植物園の起源です。
その構想を現代的に再現したのが、この東宮苑です。もともと農業試験圃場や花卉栽培に使われていた敷地を、慶州市がガラス温室の複合文化施設へと転換しました。建物は新羅時代の韓屋様式を模しながらも、壁面がほぼすべてガラスでできていて、自然光がたっぷり差し込む構造になっています。園内には金庾信(キム・ユシン)将軍ゆかりの姉妹井(チャメジョン)を再現した井戸や、雁鴨池の水路を模した小川が設けられていて、新羅との接点が随所に散りばめられています。

温室を歩く
順路に沿って進むと、まず2号館から見学が始まります。ヤシヒーリング庭園、香りヒーリング庭園、つる花庭園、花祭り庭園、癒しの植物庭園と、テーマごとにエリアが分かれていました。ココヤシやジャイアントバナナ、モリンガ、イランイランなど、東南アジアの旅先で見かけるような植物が温室の中に並んでいて、それぞれに名前と簡単な説明のプレートが添えられています。ひとつひとつ読みながら歩くと、思った以上に時間が過ぎていきます。
そこから本館へ移動すると、展示の規模が一段上がった印象を受けます。花木園、観葉園、ヤシ園、熱帯果樹園、水生園の5つのゾーンに分かれており、2号館よりもずっと本格的に作り込まれていました。なかでも熱帯果樹園は、バナナ、マンゴー、パパイヤ、オリーブ、コーヒー、マンゴスチン、ジャックフルーツなど聞き覚えのある果物の木がずらりと並んでいて、枝にぶら下がった実を間近で見ることができます。スーパーでパックに入ったバナナしか見たことがなかった身としては、頭上に大きな房が垂れ下がっている光景は素直に新鮮でした。

本館の片隅には食虫植物のコーナーもあります。ハエトリグサやウツボカズラなど、粘着式・捕獲式・落とし穴式と捕食方法ごとに分類されて展示されていました。規模は小さいものの、他の来場者も足を止めてじっくり見ている方が多く、植物園の中でも特に注目を集めているスポットだと感じました。
本館の最後には水生園があり、ここが個人的にいちばん印象に残った場所です。人工の滝が流れ落ちるそばにパピルスが実際に育っていて、1時間ほど静かな温室を歩いてきたあとに聞こえる水音が、想像以上に心地よく感じられます。この水は園内に再現された姉妹井から流れ出しているそうで、近くには金庾信将軍と井戸にまつわるエピソードを紹介するパネルが設置されていました。こうした新羅との接点が、無理なく散策の流れの中に組み込まれているのが東宮苑の良いところだと思います。

なお、入口や3号館などでツアーブック(₩2,000・約210円)を購入できます。園内16か所の主要植物の前にスタンプ台が設置されていて、すべて集めると案内デスクで記念品(種ペンシル)がもらえます。新羅にまつわるミニストーリーや施設案内、ぬりえページも付いていて、お子さま連れの方にはちょうどよいアクティビティになるかと思います。
温室を出ると屋外の庭園と音楽噴水があります。噴水は決まった時間に稼働するスケジュール制で、たまたまタイミングが合って一曲分をぼんやり眺めることができました。12月から3月の冬季は休止になるそうなのでご注意ください。

体験館の中で特に目を引いたのは4号館「かくれんぼ庭園」です。天井からエンジェルトランペットが密集して垂れ下がり、映画『マダガスカル』のキャラクターがあちこちに隠れているフォトゾーンで、実は一番長く写真を撮っていた場所でした。3号館にはつる植物庭園と昆虫生態展示、6号館には花押し体験があり、それぞれ体験料が別途かかります。5号館は昆虫ふ化施設のため一般公開されていません。

バードパークは今回見送りました。植物園とは別料金で、一人旅としてはやや割高に感じたのです。250種約900羽の鳥類に加え、錦鯉、熱帯魚、爬虫類なども飼育されており、1階が体験ゾーン、2階が鳥類のストーリーテリング展示という構成だそうです。お子さま連れの方にはむしろこちらが目玉になるかもしれません。
まとめ
植物園と体験館を合わせて、ゆっくり歩いて約2時間の所要時間でした。完全室内型の温室なので、梅雨の時期や夏の暑い日にも天候を気にせず過ごせます。

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食事は、皇理団キルにある**「ハンダソッ」で釜炊きご飯の韓定食をいただくのもおすすめです。

夕方の散策には、皇理団キルの美しい韓屋カフェ「ビチェボゲッテ」にも**ぜひ立ち寄ってみてください。

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慶州東宮苑は、それ単体で旅の目的地になるタイプの場所ではないかもしれません。けれど、保門エリアを回る一日の中に組み込むと、石と土の歴史都市・慶州に静かな緑のひとときが加わります。温室のガラス越しに差し込む光の中を歩いていると、1300年前にこの土地で庭園を造ろうとした人々の感覚が、ほんの少しだけ近く感じられる — そんな場所でした。
慶州東宮苑とはどのような場所ですか?
慶州東宮苑(トングンウォン)は、慶尚北道・慶州市の保門観光団地内にあるガラス温室型の植物園です。新羅時代(674年)に東宮と月池に造営された韓国最古の動植物園の構想を、現代のガラス温室で再現した施設で、テーマ別の植物園、体験館、バードパークで構成されています。
入場料はいくらですか?
植物園の入場料は大人₩5,000(約530円)、子ども₩3,000(約320円)です。バードパークは別料金で、大人₩20,000(約2,110円)、子ども₩15,000(約1,580円)です。駐車場は無料で利用できます。
全州やソウルからのアクセス方法は?
慶州市外バスターミナルからはバス(10番・16番・100-1番)で約15分、慶州KTX駅からはバス(710番)で約30分です。バス停から東宮苑まで徒歩約50mです。ソウルからはKTXで慶州駅まで約2時間、釜山からは約1時間です。
所要時間はどのくらいですか?
植物園と体験館を合わせて約1.5〜2時間が目安です。バードパークも訪れる場合は、さらに1時間ほど追加し、合計約3時間を見込んでおくとよいでしょう。
営業時間と定休日を教えてください。
植物園は09:30〜19:00、体験館は09:30〜18:00です。毎週月曜日が定休日ですが、バードパークは月曜日も営業しています。
子ども連れでも楽しめますか?
はい。総合案内所で車いすやベビーカーの無料貸出があります(身分証提示が必要です)。園内16か所を巡るスタンプラリー付きツアーブック(₩2,000・約210円)はお子さま向けのアクティビティとしてちょうどよく、4号館「かくれんぼ庭園」はフォトゾーンが豊富で家族連れに人気です。バードパークでは250種の鳥類と触れ合える体験ゾーンもあります。
雨の日でも楽しめますか?
はい。植物園の温室は完全室内型で空調も整っているため、天候に左右されずに快適に見学できます。体験館(3号館・4号館・6号館)も屋内です。屋外庭園、サンショウウオ生態学習場、音楽噴水(12月〜3月は冬季休止)のみ天候の影響を受けます。