花開市場(ファゲジャンター)|鮎と桜牡蠣、蟾津江の散歩道を歩く

釜山から求礼へ向かうバスに乗ると、途中で必ず「花開市場(ファゲジャンター)」に停車します。ただし降りて見て回るほどの時間はなく、いつも「次こそちゃんと来よう」と思いながら通り過ぎていました。ようやくその機会が訪れたのは4月の初め、桜はもう散っていたけれど、まだ春の空気が残っている頃でした。来てみて思ったのは、ここをずっと過小評価していた、ということです。

花開市場は慶尚南道河東郡花開面にあります。地理的には慶尚道と全羅道がちょうど接する境界に位置しており、この立地が数百年にわたって花開を両地域の交易拠点にしてきました。市場のすぐ裏手には蟾津江(ソムジンガン)が流れていて、春になると市場から双渓寺(サンゲサ)へと続く桜並木が韓国中から人を集めます。ただ、桜のシーズンを外しても、市場そのものに十分な魅力があります — 特に、お腹を空かせて来るなら。

花開市場(ファゲジャンター)の入口(慶尚南道河東郡)

施設情報 & アクセス

項目詳細
住所慶尚南道 河東郡 花開面 塔里
営業時間09:00〜18:00(年中無休)
釜山から釜山西部(沙上)バスターミナル → 花開バスターミナル(市外バス・約2時間30分・₩16,400 / 約1,730円)。出発:08:30, 10:00, 11:30, 14:30, 17:30
ソウルからソウル南部ターミナル → 花開バスターミナル(約3時間30分・₩32,100 / 約3,380円)。出発:06:40, 09:00, 11:00, 13:00, 14:30, 16:20, 17:40, 19:30
バス停から花開バスターミナルから徒歩225m(約3分)
駐車場最初の1時間無料、以降30分₩500(約53円)、10分₩100(約11円)。クレジットカード決済のみ。近隣に公営駐車場あり

バスの時刻表は訪問時点の情報です。変更の可能性があるため、出発前にご確認ください。

二つの道が出会う市場

花開市場にある歌手・趙英男(チョ・ヨンナム)のフォトゾーン

花開市場がいつ始まったのか、正確な記録は残っていません。ただ、朝鮮時代に五日市が立っていたという記録があり、三韓時代まで遡るという説もあります。慶尚道と全羅道の境界に位置するという地理的条件が、方言も食文化も異なる二つの地域の人々をこの場所に集め、交流と和解の象徴として花開市場を形づくってきました。

花開市場で販売されている工芸品

韓国ではこの市場を題材にした歌や小説(金東里の『駅馬』)が広く知られており、韓国人にとっては郷愁を誘う場所でもあります。初めて訪れる外国人としてまず目に入るのは、藁葺き屋根の建物が並ぶ市場の外観です。端から端まで歩いて10分ほどの一本道で、ソウルの広蔵市場や釜山の亀浦市場に比べると規模は小さいですが、だからこそ昔の田舎の市場に迷い込んだような感覚を味わえます。清潔で手入れが行き届いていて、今は毎日営業しています。

鮎の天ぷら、桜牡蠣、そしてよもぎ

花開市場の商店街の様子

花開市場には河東、智異山、蟾津江周辺の産物が一堂に集まっています。山菜、穀物、淡水の魚介、薬草 — 周囲の自然の豊かさがそのまま品揃えに反映されていて、見て回るだけでも楽しめる場所でした。その中でも、ここでしか出会えないものがいくつかありました。

鮎の天ぷら

花開市場で食べた鮎の天ぷらとよもぎの天ぷら

日本でもおなじみの鮎(あゆ)が、ここでは天ぷらとして売られていました。蟾津江を遡上する3〜4月が旬で、私が訪れた4月初旬にはちょうど出回っている時期でした。一尾を縦に半分に割り、骨ごとそのまま揚げてあります。思っていたよりも大きく、骨も意外と太くて全部は噛み切れませんでしたが、身の味は淡白でさっぱりしていました。

注文したら、おまけでよもぎの天ぷらも付けてくれました。日本で草餅や天ぷらに使われるあの「よもぎ」です。鮎と一緒に食べると、よもぎの香りが油っぽさをやわらげてくれて、なかなかよい組み合わせでした。韓国では初春になると、全国各地でよもぎを摘む人たちの姿を見かけます。春の訪れを告げる風物詩のひとつです。

桜牡蠣 — 食べそびれた一品

花開市場で販売されている蟾津江産の桜牡蠣(ポッグル)

これは食べておくべきでした。桜牡蠣(ポッグル)は、蟾津江で桜が咲く時期に採れる淡水の牡蠣で、名前の由来もそこにあります。川から牡蠣が採れるということ自体が珍しいのですが、何より驚いたのはその大きさです。一般的な海の牡蠣よりもかなり大きく、韓国でも美食家の食材として知られています。

直前に昼食をしっかり食べてきたせいでお腹に余裕がなく、今回は見送りました。振り返ると、花開市場は気軽に来れる場所ではなかったのに、無理をしてでも食べておけばよかったと後悔しています。もし訪れるなら、同じ失敗をしないでください。

緑茶マッコリと地元の酒

花開市場で販売されている各種マッコリ(緑茶、山茱萸)

市場では何種類かのマッコリも販売されていました。花開市場オリジナルのマッコリ、河東の緑茶マッコリ、求礼のサンシュユ(山茱萸)マッコリ。サンシュユマッコリは以前求礼で飲んだことがあったので、今回は緑茶マッコリをお土産に購入しました。家で飲んでみたところ、翡翠色のやわらかな色合いで、口当たりも滑らか。緑茶の香りはほのかで、苦みはほとんどありませんでした。

河東の特産品と市場の発見

花開市場で販売されている河東の地元特産品

河東は野生緑茶、梅、栗、シジミ(チェチョプ)、鮎などが特産品として知られています。シジミは小さな淡水の貝で、韓国ではこれを澄んだスープに仕立て、飲酒の翌朝に酔い覚ましとして飲む習慣があります。

花開市場で販売されている智異山と蟾津江周辺の山菜や特産品

食べ物以外でも目を引くものがありました。市場の中で実際に稼働している鍛冶屋は、民俗村ならともかく、現役の市場の中にあるとは思いませんでした。そのほか、よもぎ餅(スクトク)、麦パン(ポリパン)、甘酒(シッケ)、焼きとうもろこし、ホットク(甘い具入りのパンケーキ)、ポンデギ(蚕のさなぎの蒸し物 — 好みは分かれます)など、昔ながらの韓国のおやつが並んでいて、見て回るだけでも楽しい通りでした。

お腹がいっぱいで全部は試せなかったのが心残りです。次に来るときは、必ず空腹で到着するつもりです。

蟾津江の散歩道

花開市場の裏手から見える蟾津江の水面と散歩道

市場を一通り歩いた後、建物の裏手に回ると、蟾津江へ下りていく道がありました。天気が良く穏やかな日で、川の水が驚くほど澄んでいました。橋のたもとでしばらく水面を眺めていたら、どれくらいの時間そうしていたか分からなくなるほどでした。市場の裏手から少し歩くだけで、時間の流れがまるで変わる場所に出ます。

春になると、市場から双渓寺まで約4kmにわたって1,200本以上の桜が並ぶ桜のトンネルが現れ、韓国全土から人が押し寄せるそうです。満開の時期には数週間早かったのですが、桜がなくても、川と背後の山並みだけで予定より長く過ごしてしまいました。

まとめ

花開市場は都市の大きな市場のような規模感はありませんが、それを補って余りあるものがここにはあります。数百年にわたって二つの道(慶尚道と全羅道)の人々が行き交ってきた境界の市場で、川と山からそのまま届いた食材を食べ、裏手に回れば蟾津江の水面が静かに光っている。

あの日、鮎の天ぷらを食べながら、食べそびれた桜牡蠣のことを考えていました。お腹がいっぱいだったあの判断を、帰り道でずっと悔やんでいたのを覚えています。次に来るなら、空腹で来ること。そして、川のための時間を残しておくこと。それだけ守れば、この市場は期待を超えてくれるはずです。

花開市場に関するよくある質問

花開市場への釜山からのアクセス方法を教えてください。

釜山西部(沙上)バスターミナルから花開バスターミナル行きの市外バスに乗車します。所要時間は約2時間30分、運賃は₩16,400(約1,730円)です。出発時刻は08:30、10:00、11:30、14:30、17:30です。バスターミナルから市場までは徒歩約3分(225m)です。時刻表は変更の可能性があるため、出発前にご確認ください。

花開市場へのソウルからのアクセス方法を教えてください。

ソウル南部ターミナルから花開バスターミナル行きの市外バスに乗車します。所要時間は約3時間30分、運賃は₩32,100(約3,380円)です。出発時刻は06:40、09:00、11:00、13:00、14:30、16:20、17:40、19:30です。

花開市場の営業時間を教えてください。

毎日09:00〜18:00で営業しています。もともとは五日市でしたが、現在は常設市場として毎日営業しています。年中無休です。

花開市場でおすすめの食べ物は何ですか。

3〜4月に訪れるなら、蟾津江を遡上する鮎(あゆ)の天ぷらがおすすめです。桜の時期には蟾津江産の桜牡蠣(ポッグル)も出回ります。海の牡蠣よりかなり大きく、韓国でも美食家の食材として知られています。河東産の野生緑茶や緑茶マッコリはお土産にもよい選択です。

桜牡蠣(ポッグル)とはどのような食べ物ですか。

蟾津江で桜の咲く時期に採れる淡水の牡蠣で、桜の時期に採れることからこの名前がつきました。一般的な海の牡蠣よりもかなり大きく、韓国でも珍味として扱われています。春の限定品であり、花開市場では主に3月〜4月頃に販売されています。

花開市場に駐車場はありますか。

市場入口の向かいに駐車場があります。最初の1時間は無料、以降30分₩500(約53円)、10分₩100(約11円)です。クレジットカード決済のみ対応しています。満車の場合、近隣に花開市場公営駐車場と橋を渡った先に河床公営駐車場もあります。

花開市場の周辺に他に見どころはありますか。

市場のすぐ裏手に蟾津江が流れており、川沿いの散歩が楽しめます。春には市場から双渓寺まで約4km、1,200本以上の桜が並ぶ桜のトンネルが韓国有数の花見スポットとなります。河東エリアは野生緑茶の産地としても知られており、智異山国立公園との組み合わせもおすすめです。

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