ワラビがパスタになる? 釜山ミシュランのビーガンレストランで出会った一皿

ビーガン料理をわざわざ探して食べに行くことは、ほとんどありませんでした。けれど釜山ビーガンレストラン「ARP」で3品を食べ終えたとき、野菜だけの食事に対する見方が静かに変わっていたのです。ミシュランガイドもこの店を「野菜料理への先入観を一変させる場所」と評価しています。

【基本情報】釜山のミシュランビーガンレストラン「ARP影島」の営業時間・アクセス・予約方法

項目内容
店名ARP
住所釜山広域市影島区太宗路99番ギル35、1階
営業時間月〜水 11:30〜16:00
(L.O. 15:00)
営業時間金〜日 11:30〜20:00
(L.O. 19:00/ブレイクタイム 16:00〜17:00)
定休日毎週木曜日
予約CatchTable Globalアプリ
(詳しくは下記参照)
アクセス地下鉄1号線南浦(ナンポ)駅8番出口から徒歩約16分
駐車場店舗駐車場なし — 陽地(ヤンジ)駐車場(影島区太宗路95番ギル8)を利用、店舗まで徒歩5分
その他ペット同伴可、テイクアウト可、コルキチャージ可(有料)
ミシュランビブグルマン掲載(価格以上の満足感が得られる料理を提供する店)

※価格は1円≒8.5ウォンで換算(2026年9月時点)。為替レートにより変動する場合があります。

影島区のビーガンレストランARP、透明なガラスに店名が書かれた外観

ARPがあるのは影島区(ヨンドグ)という、橋ひとつで釜山中心部とつながる落ち着いた島のエリアです。すぐ近くには釜山で最も古い伝統市場のひとつである奉莱市場(ポンレシジャン)があり、店のすぐ目の前には1950年代から続く三進(サムジン)オムクの本店が構えています。海雲台(ヘウンデ)や広安里(クァンアンリ)のようなにぎやかな観光エリアとはまったく空気が違い、地元の暮らしがそのまま残る静かな通りです。

三進オムクの本店は、釜山駅やKTX駅で見かける観光客向けの店舗とは雰囲気も味わいも異なります。ARPでの食事の前後にふらりと立ち寄る価値がある場所です。

韓国でビーガン料理を探すのは、実はかなり大変です。韓国料理はイリコ出汁やアミの塩辛、魚醤がベースになっていることが多く、完全菜食に対応した専門店はソウル以外では限られています。ARPは釜山で唯一、ミシュランガイドに掲載されている100%ビーガンレストランです。

CatchTableでの予約方法

韓国の人気レストランの多くは「CatchTable」という予約アプリを使っており、ARPも同様です。予約なしで訪れると、平日でも1時間ほど待つことがあります。席数が少ないうえにミシュラン掲載の影響で来客が増えているためです。

海外からの旅行者向けにCatchTable GlobalというアプリがApp StoreとGoogle Playで配信されています。Google、Apple、メールアドレスのいずれかでアカウントを作成すれば、韓国の電話番号がなくても予約が可能です。予約フォームで電話番号を入力する際には国番号を選択できるので、日本で普段使っている番号をそのまま入力してください。

一部の人気店やコース料理を提供する店では、予約時にデポジット(予約金)や事前決済が必要になる場合があります。CatchTable GlobalではVisa、Mastercard、JCB、American Express、UnionPayなど主要な海外発行カードに対応しています。予約を確定する前に、キャンセル可能期間や返金規定が画面に表示されるので、必ず確認してから進めてください。

釜山影島区にあるビーガンレストランARPの入口

店内の雰囲気

釜山ARPに掲示されたミシュランガイド・ビブグルマンの認定プレート

店名の「ARP」は”Around Plants”の頭文字で、地球のためのエシカルな食卓と、植物料理が持つ無限の可能性を表現しているそうです。入口のそばにはミシュラン・ビブグルマンの認定プレートが掲げられていました。

ARPのウェルカムドリンクが入ったボトルと奥に見える店内の食事スペース

店内はテーブルが数卓のみの小さな空間で、丁寧に手入れされたインテリアが落ち着いた雰囲気をつくり出しています。友人の自宅に招かれたような居心地の良さがありました。平日の訪問でしたが、すべてのテーブルが埋まっていて、デートや少人数での食事にちょうどいい空気感です。

釜山影島区のビーガンレストランARP店内、数卓のテーブルが並ぶ温かみのある空間

席に着くとすぐに、ウェルカムティーとしてイチジクの葉のお茶が冷たい状態で出てきました。このお茶は季節ごとに変わるそうなので、訪れる時期によって違うものが楽しめます。

ARPのテーブルに置かれたQRコード付きカードをスマートフォンで読み取りメニューを確認する様子

注文はテーブルに置かれた名刺サイズのカードに印刷されたQRコードをスマートフォンで読み取り、表示されたデジタルメニューを見ながら行う形式です。紙のメニューはありません。メニューは韓国語で表示されますが、料理写真が添えられているのと、スタッフの方が丁寧に対応してくださるので注文自体はスムーズでした。

メニュー紹介

ARPのキッチンでは、すべての料理が旬の野菜を中心に組み立てられています。日本でもおなじみのワラビや白菜、どんぐりといった食材が、パスタのソースやメインディッシュ、バーガーのパティとして主役を張っている構成です。

メイン料理

メニュー内容価格
ワラビパスタ
(シグネチャー)
山ワラビのペスト、レンコンチップス、チャイブのオイルパスタ₩19,000
(約2,240円)
山菜パスタ山菜ペスト、エリンギスライス、フライドケイパー、ガーリックフレーク₩19,000
(約2,240円)
ARPビーガンバーガー竹炭バンズ、植物性パティ、自家製ビーガンチェダー、オニオンチャツネ₩17,000
(約2,000円)
カリフラワーグリル&テンペフライ(新作)ペリペリソースのカリフラワーにテンペ(大豆発酵食品)のフライ添え₩21,000
(約2,470円)
ARPポケ焼きナスと旬の漬物、昆布出汁の玄米₩22,000
(約2,590円)
どんぐりリゾット&薬膳スープ(新作)香ばしいどんぐりのリゾットと韓方ハーブの伝統スープ₩24,000
(約2,820円)

前菜・サイドメニュー

メニュー価格
ミニ白菜グリル&きのこクランブル — ポテトソースの上に丸ごとローストした白菜、ビーガンチーズがけ₩12,000
(約1,410円)
チャメ(韓国メロン)のソイグリークサラダ — 旬のメロンと豆乳ベースのギリシャ風ヨーグルト₩12,000
(約1,410円)
パニプリ&チポトレフムス — サクサクのパニプリにフルーツサラダとスモーキーなフムス₩13,000
(約1,530円)

デザートは₩9,000〜₩11,000(約1,060〜1,290円)で、パイナップルバジルジェラート、季節のフルーツケーキ、バナナカカオストーンなどが揃っています。スパークリングエイドや季節のティーは各₩8,000(約940円)です。

ARPの入口に掲示された季節の発酵甘酒(カムジュ)の案内

メニューのなかでひとつ気になったのが、ARPオリジナルの発酵甘酒(カムジュ)です。米と麹を発酵させたノンアルコール飲料で、日本の甘酒にとても近い存在です。そこに旬の食材を加えてアレンジしており、わたしが訪れたときはレモン(₩9,000/約1,060円)とバジル(₩10,000/約1,180円)の2種類がありました。

セットメニュー — いちばんお得な選び方

メニュー選びに迷ったら、前菜・メイン・ドリンク・デザートがセットになったコースがおすすめです。

セット内容価格
1名用前菜1品+メイン1品+ドリンク1杯+デザート1品₩45,000
(約5,290円)
2名用(おすすめ)前菜1品+メイン2品+ドリンク2杯+デザート1品₩70,000
(約8,240円)

1名セットは単品で注文した場合の合計₩48,000(約5,650円)から約₩3,000(約350円)お得になり、2名セットは合計₩79,000(約9,290円)から約₩9,000(約1,060円)お得です。なお、どんぐりリゾット&薬膳スープはセットメニューの対象外となっています。前菜はチャメのサラダ、ミニ白菜グリル、パニプリから選べます。メインはワラビパスタ、山菜パスタ、ビーガンバーガー、ポケの4種類から選択可能です。ドリンクはスパークリングエイドまたは季節のティー、デザートはジェラート、ストロベリームースケーキ、バナナカカオストーンからそれぞれ1品を選びます。

実食レポート

メニューのほとんどが、食べる前に味の想像がつかない料理ばかりです。前菜1品とメイン2品の計3品を注文してみました。

ミニ白菜グリル&きのこクランブル — ₩12,000(約1,410円)

釜山ARPのミニ白菜グリル、ポテトソースとビーガンチーズがけ

最初に運ばれてきたのがこの一皿です。クリーミーなポテトソースの上に丸ごとローストされたミニ白菜がのり、その上から自家製のビーガンチーズがたっぷりとかけられていました。スタッフの方がハサミを渡してくれたので、食べやすい大きさに切り分けてからソースにたっぷりとつけていただきます(韓国の食堂では、料理をハサミで切り分けて食べるスタイルが一般的です)。

ローストされていても白菜のシャキッとした歯ざわりがしっかり残っていて、ポテトソースとチーズの塩気が白菜本来の甘みを引き立てているのが印象的でした。

釜山ARPのきのこクランブル、白菜グリルとセットで提供される一品

きのこクランブルは別皿で出てきたので、最初は別の料理かと思ったのですが、実は白菜グリルとセットになっている一品です。

釜山ARPのきのこクランブルの断面、細かく刻んだきのこの具材が詰まった内部

割ってみると、サクサクの外皮のなかに細かく刻んだきのこと香味野菜がぎっしり詰まっていました。同じポテトソースにつけて食べると、きのこの旨みが加わって白菜だけでは出せない奥行きのある味わいになります。

ワラビパスタ(シグネチャー) — ₩19,000(約2,240円)

釜山ARPのシグネチャーメニュー、ワラビパスタ(ミシュランビブグルマン掲載)

ARPの看板メニューであり、ミシュランガイドが特に取り上げた一皿です。ワラビと聞くと、日本ではワラビ餅や山菜のおひたしが思い浮かぶ方が多いかもしれません。韓国でもナムルやビビンバの具材としておなじみの山菜ですが、それをオイルパスタの主役に据えるという発想は初めてでした。

スプーンにのせた釜山ARPのワラビパスタ、ワラビの繊維質な食感が見える接写

口に運んでみると、ワラビ特有の繊維質でしっかりとした噛みごたえがあり、ほのかな土の香りが広がります。調理法によっては肉のような食感すら感じるのが不思議でした。オイルベースでありながらあっさりとしていて、ほんのりとした辛みが全体を引き締めています。トッピングのフライドエノキがカリカリとした食感を添えていて、ひと口ごとにリズムが変わるのが楽しいパスタです。

3品のなかで個人的にいちばん気に入ったのが、このワラビパスタでした。ミシュランの調査員が注目した理由も、食べてみて納得です。

カリフラワーグリル&テンペフライ — ₩21,000(約2,470円)

釜山ARPの新作メニュー、ペリペリソースのカリフラワーグリルとテンペフライ

新作メニューで、この日食べたなかで見た目のインパクトがいちばん大きかった料理です。鮮やかなオレンジ色のペリペリソースでローストされたカリフラワーが運ばれてきました。甘酸っぱさのなかにほどよい辛みがあり、つい次のひと口に手が伸びる味わいです。

釜山ARPの黒いパンにカリフラワーグリルをのせた接写

添えられた黒いパンをスプーンのように使い、カリフラワーとソースをのせて食べるのがおすすめです。トッピングにはドライトマトのように見えるものがのっていましたが、噛んでみるとコリコリとした食感で、どうやら干し柿のスライスのようでした。スタッフの方が説明してくださったのですが正確には聞き取れず、テーブル全員で「これは何だろう?」と話しながら食べる時間がかえって楽しかったです。

テンペは大豆を発酵させて固めた食品で、日本でも最近は健康食材として見かける機会が増えています。しっかりとした歯ごたえと香ばしい風味があり、ワインと合わせたくなる一品です。ARPではワインの持ち込みも可能で、コルキチャージ(有料)で対応しています。

訪問前に知っておきたいこと

予約なしの場合: 平日でも1時間ほど待つことがあります。週末はさらに混雑するため、CatchTableでの事前予約をおすすめします。

お子さま連れの場合: 一部のメニューに辛みが含まれています。注文前にスタッフの方に辛さの有無を確認されると安心です。

ワインの持ち込み: コルキチャージ制で持ち込み可能です。料金は来店時にスタッフにご確認ください。

駐車場: 店舗に駐車場はありません。最寄りは陽地駐車場(影島区太宗路95番ギル8)で、店舗まで徒歩約5分です。

アクセス: 地下鉄1号線南浦駅8番出口を出て、奉莱市場方面へ徒歩約16分です。平坦な道なので歩きやすく、市場の雰囲気を楽しみながら向かうことができます。

まとめ

実はこの店に出会ったのは、影島をサウンドウォーキングで巡るツアーに参加したときのことでした。カフェを訪れ、奉莱市場を歩いたあと、ランチとしてARPに立ち寄り、食後はヒンヨウル文化村へ向かう——そんな一日のなかで、この食事がいちばん印象に残っています。

影島を観光ガイドに載っていない角度から体験してみたい方には、この音のツアーがとても良い入口になるはずです。

ワラビがパスタになる。白菜がメインディッシュになる。ふだん脇役として見ていた食材が、こんなふうに主役を張れるのかと、静かに驚かされた時間でした。肉の代わりに何かを使うのではなく、野菜そのものの味と食感を丁寧に引き出す料理は、日本の精進料理にも通じるものがあるかもしれません。釜山ビーガンレストランとして唯一ミシュランに名を連ねるこの店は、ビーガンであるかどうかに関係なく、予約してでも訪れる価値のある一軒だと思います。

【よくある質問・FAQ】釜山ARP訪問前の予約なしの待ち時間、駐車場、子連れ注意点まとめ

ARPはどんなレストランですか?

ARPは釜山広域市影島区にある100%ビーガン(完全菜食)レストランです。店名は”Around Plants”の頭文字で、旬の野菜を中心にパスタ、バーガー、ポケなど多彩な料理を提供しています。釜山で唯一、ミシュランガイドにビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理を提供する店)として掲載されており、看板メニューのワラビパスタはミシュランが特に注目した一品です。

日本の電話番号でもCatchTableで予約できますか?

はい、可能です。App StoreまたはGoogle Playから「CatchTable Global」をダウンロードし、Google、Apple、メールアドレスのいずれかでアカウントを作成してください。電話番号の入力画面では国番号を選択できるため、日本の番号をそのまま使えます。Visa、Mastercard、JCB、American Express、UnionPayなど主要な海外発行カードに対応しています。一部の店舗では予約時にデポジットや事前決済が必要になる場合があるため、キャンセル規定を確認してから予約を確定してください。

ワラビパスタとはどんな味ですか?

ワラビパスタはARPのシグネチャーメニューで、ミシュランガイドが特に取り上げた料理です。日本でもおなじみの山菜であるワラビをオイルベースのパスタの主役に据えた一品で、価格は₩19,000(約2,240円)です。ワラビ特有の繊維質な噛みごたえとほのかな土の香りが特徴で、調理法によっては肉のような食感すら感じます。ほんのりとした辛みが全体を引き締め、トッピングのフライドエノキがカリカリとしたアクセントを加えています。

予算はどのくらいですか?

メイン料理は₩17,000〜₩24,000(約2,000〜2,820円)、前菜・サイドは₩12,000〜₩13,000(約1,410〜1,530円)、デザートとドリンクは₩8,000〜₩11,000(約940〜1,290円)です。セットメニューもあり、1名用(前菜+メイン+ドリンク+デザート)が₩45,000(約5,290円)、2名用(前菜+メイン2品+ドリンク2杯+デザート)が₩70,000(約8,240円)です。2名でアラカルトで前菜1品、メイン2品、ドリンク2杯を注文した場合、₩62,000〜₩81,000(約7,290〜9,530円)が目安です。
※価格は1円≒8.5ウォンで換算(2026年9月時点)。為替レートにより変動する場合があります。

ビーガンでなくても楽しめますか?

はい、ビーガンでない方でも十分に楽しめます。ミシュランガイドはARPを「野菜料理への先入観を一変させる場所」と評価しています。肉の代用品に頼るのではなく、旬の韓国野菜、発酵食品、自家製ビーガンチーズを使って、それぞれの素材の味と食感を活かした料理を提供しています。ビブグルマンの認定は料理の質そのものに対する評価であり、ビーガン専門店としての特別枠ではありません。

アクセス方法と駐車場について教えてください。

ARPは影島区にあり、地下鉄1号線南浦駅8番出口から徒歩約16分です。奉莱市場方面へ向かう平坦な道で、市場の雰囲気を楽しみながら歩けます。店舗に駐車場はありませんが、最寄りの陽地駐車場(影島区太宗路95番ギル8)が徒歩約5分の場所にあります。南浦洞エリアからタクシーを利用する場合は、道路状況により5〜10分ほどです。

子ども連れでの訪問やワインの持ち込みは可能ですか?

ARPは落ち着いた雰囲気の小さな店舗で、少人数での食事に向いています。一部のメニューに辛みが含まれているため、お子さま連れの場合は注文前にスタッフに辛さの有無をご確認ください。ワインの持ち込みはコルキチャージ(有料)で対応しています。テイクアウトも可能で、ペットの同伴も受け入れています。

コメントする